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MCF.LAB Blog

これからのオフィスの役割を考えてみた

10月、MCFでは福岡本社の改装を行っていて、その間1ヶ月ほど在宅勤務にしておりました。
ようやく改装も終わり11月から新しいオフィスで業務を開始しています。

春ぐらいから約半年「MCF的新しい生活様式」で平常運転しておりますが、在宅勤務でも全然業務ができてしまう中、オフィスの役割って何さ?って考えた結果、どうせなら思いきって「新しい生活様式に合わせたオフィス」にしちゃおうということで、改装工事をしてまして、ようやく完成いたしました。

今回はそんなオフィスについて少し考えたことを書いてみたいと思います。

仕事には「編集的な仕事」と「執筆的な仕事」の2種類がある

このまえこちらの資料を読んでいて面白い分類軸だなと思ったのですが、仕事には「編集的な仕事」「執筆的な仕事」の2種類に分類できるよね、ということが書いてあり、なるほどなと思いました。

「スタートアップは行動しない/ フォーカス、ツール、オペレーションについて」(Takaaki Umeda)

昔は少し出世すると、会議ばっかりやってて自分ではほとんど手を動かさないようなおじさんが多かったですが、今はそんな牧歌的な時代でもなく、特に私たちみたいな小さい会社は、部長も社長もみんなプレイングマネージャーでゴリゴリに手を動かさないと生きていけません。

3月から5月までの3ヶ月間自分でもどっぷり在宅をしてみて、そういった「手を動かす仕事=執筆的な仕事」は在宅勤務の方が圧倒的に生産性が高いと感じました(在宅で仕事に集中できる環境を整えるのが前提条件ですが)。IT技術の進歩で、こういった「執筆的な仕事」がオフィスにいなくても全く不自由なくできるようになったのは大きいと思います。

オフィスとはどういう場所か

一方で、当然ながら「編集的な仕事」も仕事においては重要で、こういった業務はコミュニケーション量が必要です。

今までの働き方の中では、オフィス=仕事する場所という概念だったので、「作業する場所」に重きをおいて設計していたような気がします。全員に一席ずつ用意して、自分の作業のしやすい環境を整える。

ところが、在宅勤務ができるようになればそういった作業をする場所のためのオフィスは必要なくなります。反面、ちょっとした会話や雑談は確実に減りますし、自分の所属部門以外の人たちが何をしているのか、見えずらくなります。

ちょうど、コロナ禍のテレワークについての調査結果がニュースで出ていました。

「コロナ禍のテレワークで若手社員だけストレス増加」
コロナ禍でテレワークの導入が広がる中、若手社員が他の世代と比べて、強くストレスを感じていることが、メンタルヘルスケアなどを手掛ける企業の調査で分かった。
通常、出社している時であれば、どの部署で、誰が、どんな仕事をしていて、それらがどう繋がり合って、どんな成果に繋がっているのかなど、自然と見聞きすることが多く、会社や仕事の全体像について理解も深まっていくものです。この点、リモートワークの環境下では、接点や情報が遮断されてしまうため、会社や仕事の全体像について理解を深めていくことが極めて困難になります。
通常、出社していた時のような、“ヨコ・ナナメとの偶発的な接点・コミュニケーション”〜が限りなく少なくなり、人間関係の範囲が極めて限定的になっていると思われます。
気軽に相談できる相手や、雑談・グチを言い合える仲間がいないことで、心にゆとりを持てず、孤立感も高まりやすい状況にあると考えられます。
https://www.fnn.jp/articles/-/112467

いろんなところで言われていますが、リモートでのコミュニケーションはあくまでも今までの信用を前提として成り立っていて、新しく信用を貯金するような役割はなにか他で補わないといけないということだと思います。そして、そういった「偶発性のコミュニケーション」こそ、これからのオフィスが担うべき役割なのではないかと思ったのが、今回改装を行おうと思った最大の理由です。

大学のキャンパスは理想に近い?

ふらっと立ち寄れて、立ち寄れば誰か知り合いがいる場所ということで、私がイメージしたのは大学のキャンパスと学食でした。ちなみに私は授業を受けに大学に行くのに、途中で友達に捕まってそのまま麻雀しに行くというようなことをやってたダメ大学生でした。根無し草のようにフラフラしている大学生でも、キャンパスに行けば誰かいるという精神的安心感や、大学に属しているという所属意識にキャンパスが果たしていた役割は大きかった気がします。

リモートが日常になるこれからの会社にとっては、大学のキャンパス的な場所を意図的に仕掛けないといけない気がしています。まさに、若いメンバーにヨコやナナメとの偶発的な接点をいかに作ってあげられるか。そういったことが会社に属しているロイヤリティにもつながるし、各個人の心理的安全にも貢献するのではないか。そういう部分でまだまだ「リアルな場」が果たす役割は大きいなと考えています。SNSコミュニティのオフ会も、コミケも同じことなんじゃないかな。

新しいオフィスの工夫

とはいえ、単にオフィスがあれば良いというわけではないので、むしろ「偶発性のコミュニケーションを仕掛ける」ようにしないと意味がないよなぁと感じました。結局オフィスに来てもいつも決まった席で、近くに座る人もいつも同じなら、それはリモートでのクローズドコミュニティと同じなんですよね。

なので、今回の改装で一番意識したのは「出社するたびに毎日違う人と話す設計」です。「完全フリーアドレス」にして出社するたびに座る席が違う、隣に座る人が違う、まさに学食とか図書館とかのイメージです。

ただ、完全フリーアドレスでも結局座る席が固定化していくのがあるあるだと思うので、ひとつ仕掛けを入れました。それがこちら、うちのエンジニアにこっそり作ってもらった座席抽選システム。
毎朝出社したときにボタンを押すと今日座る席がランダムで選ばれる仕組みになっています。席というより島固定ですね。ちなみに医療の会社なので島の名前は臓器の名前にしました。

座る島はなるべくオフィスの真ん中に集めてまわりを通る人が声をかけやすいようになってます。ちなみに、すべての席でデュアルディスプレイが使えるようにしています。
オフィスで増えてる1on1用個室と、奥はビデオ会議に参加するための静かな環境の個室ブース。普段は座っちゃダメな席。


50人ぐらいのイベントなら可能なスペースも作ったので、将来的には外部の人とかも呼ぶイベントとかできたらいいな。

行動を変えるには環境を変えるのが一番

組織が少しずつ大きくなるにつれて増床も含めたオフィスのレイアウト変更をやってきましたが、単に席を増やすのではなく「こうやって動いてほしい」という思いみたいなものを環境に込めると結構意図したことに近い動き方をしてくれるようになるよなぁと思っています。

特に組織が大きくなってくると、多種多様なバックグラウンドの人が増えます。そうすると、なにか新しいことに取り組もうとしてもなかなか新しい仕組みが定着しないということに陥りがちなので、環境を先に変えてしまう、というのは悪くない手じゃないかなと個人的には感じています。

今年も我が家はコタツを出した瞬間に子どもたちはコタツから一切出てこなくなったことをここに報告するとともに、今日は終わりたいと思います。

今回のオフィス改装は福岡を拠点とするアドアルファさんにお願いしました。アドアルファの代表の中島さんと最初にZoomで打ち合わせして、こんな事考えてるんですよねー、って雑な話をしたらそういったコンセプトを全部形にしてもらえました。大学のキャンパス、というコンセプトも中島さんのアイディアです。
アドアルファさんのホームページにもあるんですが「もっとオフィスをおもしろく。」 というのは、本当にこれからの会社が考えていかないといけないことだよなと改めて思っています。中島さん、ありがとうございました。