メディアコンテンツファクトリーは2022年7月に株式会社レイヤードに社名を変更しました。
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カスタマーサクセスを組織に定着させるまで

この前国立博物館の恐竜博に行ってきた。太古の歴史に思いを馳せてひたすら探求するって本当におもしろいと思った。


久しぶりにブログ書きます。
MCFは6月期なので、7月より新しい期がスタートしました。
今期は少し組織変更があって、しばらくは社内がバタバタしてましたが、3ヶ月経ってようやく落ち着いてきたかなと感じます。
組織変更の一つとしてもともと「オペレーション本部」だった本部の名前を「カスタマーサクセス本部」に改めました。今回は、カスタマーサクセスについて、なんで部署の名前を変えたのかとか、カスタマーサクセスを組織に定着させるためにやったことなどをつらつら書いてみたいと思います。
 

なんでカスタマーサクセスに名前を変えたの?

今期の組織変更。部署名を変えただけのように見えるけど

弊社は医療機関向けにサービス提供をしていますが、その中でサイネージ(待合室の情報配信)と、WEB制作の2つの事業がありました。
各事業は独立したそれぞれの部門が見ており、それを統括する形で「オペレーション本部」でまとめられていました。

各事業の部門が独立していることで事業の意思決定は早い一方、会社として横串で刺した取り組みとか(窓口の統一とか)お互いの情報共有が進みにくいデメリットもあって、一長一短だなぁとは思っていました。

そんな中、昨年度始まったWEB問診が想定以上に順調に伸びてきてWEB問診のサポートをまずは自分で手探りでやりはじめたのが昨年夏頃。新しい製品がゆえにユーザとの距離も近かったこと、新規事業で最少人数構成がゆえに営業ーサポートー開発が一体となって体制を作っていけたことなどが功を奏して、自分なりに良いサポートサイクルが築けているな、と思うようになりました。
ユーザからもサポートを評価してもらうことも非常に増えて、サポートが評判良いことで営業も自信を持って新しいサービスを薦められるし、結果としてユーザからの紹介が増えるという好循環も生まれてきました。

そのような経験を通して、社内を見たときに、既存事業のサイネージとWEB制作の方も、それぞれ単独の事業部でサポートするのではなく、ユーザにとっては一つの窓口で営業もサポートも開発も情報共有された状態が理想だし、そのためには今の組織は最適ではないな、というのが今回の組織改編の最大の目的でした。
つまり、「効率性の追求(オペレーションの追求)」から、「ユーザの成功を追求(多少効率性が落ちたとしても)=カスタマーサクセス」に主眼を変更するよ、というのが今回の組織変更で込めた最大のメッセージです。

 
 

カスタマーサクセスのための取り組み

とはいえ、いきなり看板が変わっただけで構成メンバーも大きく変わったわけではないので、なによりもまず各メンバーの意識を「カスタマーサクセス」の方向に向けることが大切かなと思ってこの3ヶ月本部長やマネージャー陣には頑張ってもらいました。
今回3ヶ月経って、それなりに狙いの方向に意識が向きつつあるなと感じられるようになったので、効果的だった取り組みをいくつか共有できればと思います。
 

お客さんとの営業情報を可視化する

デモ報告例。営業部長であろうと報告必須です。


カスタマーサクセスにとって一番大切なことはお客さんの情報だと思ってます。特に、「お客さんが何をもって成功だと思うか」「どうやってお客さんを成功に導けばよいか」ということはお客さんによっても考え方や状況も違うので、そういった情報を集約して社内にノウハウを貯めていくことが最も大切なことだと感じています。
医療業界の営業において「製品デモ」は非常に重要な営業接点です。MCFでは前からやっていた取り組みではあるんですが、この「製品デモの報告=デモ報告」を必ずSFA(ちきゅうを使ってます)に登録しないといけないルールにしています。そしてこれが結構重要なんですが、このデモ報告をいかに詳細に書くか(更に面白おかしく書けるか)が営業には暗黙的に求められます。
このデモ報告は、営業報告の代わりに使われているだけでなく、営業以外のサポートのメンバーも全員見ているので、実際に受注してサポートをしていくときにも「何を期待してサービスを購入してくれたか」「何を懸念としていたか」などを知った上でサポートしていくことが出来ますし、営業も他の営業がどういうセールスの仕方をしているのか、営業同士のノウハウの共有という意味でも非常に効果的だなと感じてます。

サポート情報も可視化する

サイネージやWEB制作事業の方は、昔ながらの電話とメールでのサポートだったんですが、WEB問診の方は最初サポート私ひとりだったこともあり、Intercom(チャットサポート)を導入しました。WEB系の会社からしてみればいまや当たり前ですが、医療業界ではまだまだ馴染みがなく、すごく便利に受け入れてもらえました。おかげでサポートへの電話は最小限になっています。
でもチャットサポートの一番のメリットは「サポートの対応が可視化できるところ」だと思っています。サポートメンバーだけでなく開発部門なども見ているので、サポートでは少し回答が難しい問題などはヘルプを入れてあげたり、サポートからの回答が少し誤解を受けそうなものは訂正できたり、そういった「チームでのスムーズな連携」ができるところが、カスタマーサクセス的に良かったと感じたところでした。
最近、サイネージ・WEB制作の方でもようやくIntercomを導入して、ちょっとずつサイネージ・WEB側のメンバーもチャットサポートに慣れていっているところです。

「顔の見えるサポート」

昔から思っていたことなんですけど「サポート」ってなんか顔の見えない人たちを相手にしている気がするんですよね。だからサポートは無駄に怒られるんじゃないかと。人間って顔が見える関係だとなかなか怒りにくいんじゃないかなと思ってます。なので、MCFはサポートであっても「顔が見える」という関係にしたいな、と思っていました。とはいっても、別にビデオ会議をしろ、みたいな話ではなく、結構小さな工夫です。
  • チャットサポートのアイコンは動物とか標準アイコンではなくちゃんと“自分の顔”が載ったアイコンにする。
  • できればかしこまったアイコンよりも、フランクな感じのアイコンが望ましい(人柄が見える)。
  • チャットやメールでも、「サポートセンターです」ではなく「〇〇です」ときちんと名前を名乗る。
  • 文章は少しフランクな感じで崩した方が温かいイメージがつく。でもかしこまりすぎない。
  • レスポンスの速さ命。解決策の提示を考える前に、まずレスポンス。(→そばにいるよ感)
こういう細かいニュアンスって、なかなか現場主導では判断しづらいので、上の立場が明確に「こうやっていいよ」と伝えて・見せてあげることが大切かなと思ってます。

お客さんに褒めてもらったらとにかく共有

仕事ってやっぱり、喜んでくれる人がいるからやりがいも出るものです。でもサポート側にはなかなかポジティブな反応は届きにくかったりします。営業だとユーザフォローした時など、ふとしたお褒めの言葉、的なことをかけてもらえることがあります。そういう会社、製品、担当に対するポジティブな声はとにかく社内に共有してもらうようにしています。やっぱり人間褒められると、嬉しいものです。

「サクセス!」スタンプ

新しいユーザで運用にうまく乗ったり、うまく使えている報告を社内でも共有してサクセス!スタンプ


すごく細かい話ですが、結局一番良かったのは、Slackの「サクセス!」スタンプかもしれません。
今期のテーマはカスタマーサクセスだよ!となってからすぐ「サクセス!」スタンプが作られて(作ったのはマーケ本部。さすがです)あらゆるところでサクセス!スタンプが多用されるようになりました。お客さんから褒められたらサクセス!サービスの利用状況が良ければサクセス!ユーザからの相談にこう答えたらどう?っていう提案にサクセス!
面白いもので、言葉って使えば使うほど意識に定着するもので、このスタンプによってどんな行動がサクセスで、どんな行動がサクセスではないのか?という意識がなんとなく統一していった感じがします。
言葉に出して「サクセス!」とか言ってるやつがいたら、お前どこのかぶれもんだよ、とドン引きしてしまいますが、スタンプ押すだけの気軽さとか少しふざけた感じも良かったのかなと今では思ってます。

まだまだこれからですが..

まだまだ足りていないこともたくさんあるし、ユーザからも怒られることもまだ多いですが、組織の名前を変えて、ちょっとずつでもみんなの意識が良い方向に向いてきているな、という感じがして社長としては嬉しい限りです。
うちのメンバーは、方向性さえ合えば、わりと自律的に(悪くいうと勝手に笑)動けるタイプが多く、これからどんどん良くなっていくので、ユーザの皆様、もうちょっとだけ温かい目で見守っていただけるとありがたいです。
 
そして、最後に。
カスタマーサクセスっていまや猫も杓子もって感じで、そういう流行り言葉に飛びつくのはあまり好きではないタイプだったんですが、新しく出来た言葉って、今までの仕事を考え直してもらう意味でも適度に利用するのはそれなりに効果的だよな、と思っている今日この頃でございます。