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Interview クリニック

「こんなクリニックがあったらいいな」
に応えられるクリニックを目指して

安部医院院長の安部先生。本当に気さくにいろんな話をしていただきました

西武新宿線の西武柳沢駅から徒歩1分の安部医院。医師4名で耳鼻科を中心に小児科、内科、皮膚科まで科目の垣根を超えた診療を提供しています。医院に一歩入ると天井の高い気持ちの良い空間が広がっています。
患者への情報発信もかなり意識していて、ホームページのみならず、待合室での患者向け映像放映(デジタルサイネージ)、ブログから公式Facebookまで、幅広く、頻繁に情報発信を行っています。今回はそんな安部医院院長の安部浩一先生に、クリニック運営の思いをお伺いしてきました。

「こんなクリニックがあったらいいな」に応えられるクリニックを目指して

―まずは安部医院の特徴を教えてもらえますか?

「こんなクリニックがあったらいいのにな」に全力で応えられるクリニックにしたいとずっと思っています。僕は耳鼻科医で家内が内科なんですけど、やっぱり耳鼻科は小さいお子さんが多いんですよね。当然付き添いの親御さんもいらっしゃいます。そうすると本来耳鼻科じゃない悩みとかたくさん抱えてくるんです。小さい子供をおんぶして、手を引いて二人ぐらい連れてきている中で、これは専門分野じゃないから他院に行ってください、というのが果たして良いのか?と考えた時になるべく一箇所ですませてあげたい、と思ったんです。

それで、私も家内も開業してから小児科を徹底的に学びました。そのあと縁があって入っていただいた嶋田先生にも小児科に学びに行っていただき、小児科の知識をつけた上で働いてもらうという形をとっています。5月からは、やっぱり皮膚科も必要だよねということで、皮膚科の非常勤の先生も入っていただきました。

天井の大きな窓から太陽光が入る待合室。落ち着いて待っていただける工夫が随所に。

スタッフがいてこその安部医院

―開業されて20年以上ですが、医院を経営する中で最も大切にされていることはなんですか?
スタッフが幸せになれる、ということはすごく意識しています。最初開業した当時は、患者さんを幸せにするというのが一番のミッションだと思っていました。ところがスタッフが増えていくうちに、実はスタッフを幸せにしなければ患者さんに良い応対もできないし、患者さんに良い応対ができなければ患者さんにとって良い診療所にならない。長年やっている中でスタッフが増えていって、スタッフがいてこそ安部医院があるっていうことを本当に感じています。

―分院展開は考えたりしなかったのですか?

もう20年以上もやってるので、分院展開のオファーは受けてきましたよ。でも当時は分院展開って結局お金目的なんじゃないかという気持ちもあって、自分が患者を診るという医療にこだわりもあったので、踏み出しませんでした。

でも今は少し考え方も変わって、自分の理想とする医院を世の中にたくさん広めていく、という考え方もありだなと思うようになりました。私があと20歳若ければたくさん分院展開していたかもしれない(笑)。でも今はこの1院だけですし、この1院はとことんこだわりを持ってやっていきたいと思っています。

「マネジメント力が大切」

―長く経営されている中でご自身として一番気持ちが変わった部分はどこですか?
やはりマネジメントの部分ですね。最初開業時はスタッフ2人から始まって、そこから3人、4人と増えていって、今はスタッフが21人いますが、そうやってスタッフが増える中で患者さんとスタッフの幸せを実現するためには、マネジメント力がないとダメだなということに気づきました。良いマネジメントができれば、たとえ自分が直接手を下さなくても自分の理念に共感して、自分のやり方をわかった上でやってくれる人がいたり、そこに自分の理念に基づいた医療があれば、必ずそこに携わるスタッフも、そこにいらっしゃる患者さんにも幸せが届けられるよね、という風に考えられるようになりました。昔は何でも自分がやらないと気が済まなかったんです(笑)

―ドクターの方って「全部自分がやらないと」というこだわりの強い人が多いと思うのですが
そう。だから当然、医師としての専門性においては圧倒的な勉強や努力を自分に課す必要があるとは思いますし、それはとても大切なことだけど、全部自分がやっていればすべてが上手くいくかと言われれば、そんなことはないと思います。

「スタッフにいかに「幸せ」になってもらうか」

―スタッフの幸せを実現していくための方法とか工夫ってありますか?

権限委譲して、彼女たちの「やった」という達成感を持たせたいとは思います。シフトのことや日々の業務についても、自分たちで考えて決めてもらうようにしています。

ただ、同じ言葉を使っても響く人もいるし、響かない人もいる。だから、ひとりひとりにそれぞれの響く言葉を使って、彼女たちの目線になった上で、みんなが最終的にこんなに伸びたんだっていうものを感じ取れるような環境、安部医院で良かったんだっていうものを提供できたらなと思ってます。

結局、理詰めで話しても納得しないんですよ。心の底から納得してもらうには、彼女たちにとって納得感がないとだめだと思っています。

実はまだスタッフにも話していないんですけど、土曜日の診療のあとを全部空けたんですよ。毎週土曜日、誰か一人ですが何時間でも話し合おうと思っています。そのときに伝えようと思ってることは、僕は「スタッフの1番の理解者になりたい」ということです。それぞれがどういう人生を歩みたいのか、ここで何を得たいのか、それぞれが言っていることをともかく理解することが大切だと思っています。スタッフそれぞれの言っていることを理解した上で、自分としての思いを伝えていければと思っています。

ただ、医院を船に例えたら、船の行き先は船長が決めるので、船員はその船の行き先に合意してもらう必要があります。だからしっかり伝えると同時に、彼女たちの意見も聞きながら、結果みんなが良かったねっていう形に持っていきたいと思ってます。

安部医院ホームページより

 「安部医院のファンが増えたらきっとスタッフも働きやすい。だからブランディングする」

―先生のところでは医院の紹介冊子、結構しっかりしたものを作られたじゃないですか。あれを作った思いとか狙いは何ですか?

クリニックのファンを増やすために作った紹介冊子。

安部医院のファンを増やしたいと思っているんです。前にスターバックスの話を聞いた際に、スターバックスは取引先・社員・顧客・株主の順に大切にしていると。普通のアメリカの会社は株主が一番最初に来ると思うんです。スターバックスに勤めた人と話をするとスターバックス愛がすごいんですよ。それはスターバックスが社員をとっても大切にしているからだと思うんです。そして、彼らのうまいなと思うのは、スターバックスというひとつのブランドをしっかりと確立して、そこのファンになるお客さんを育てていること。そこに来るお客さんはスターバックスが好きなお客さんで、スタッフも楽しんで仕事をしているから、お客さんもスタッフに優しい。

安部医院も、おかげさまでうちを好いてくれる人がたくさんいる。こういう人を増やしていきたいなと思ったんです。そのためには、うちが取り組んでいることや考えていることを自ら発信していかなと行けないと思ったんです。そうやって安部医院のことが好きな人が患者としてここにあふれてくれれば、スタッフも絶対に仕事がしやすくなるはずですよね。
スタッフって1日に約8時間、人生の3分の1一緒にいるわけだから、その時間で何かを得て、幸せになってもらえたらな、と本当に願ってます。

こだわりぬいたキッズスペース。お子さんが喜んで遊んでくれることで、親御さんの負担も減らす目的もある。

―ありがとうございました。

今回のインタビューの中で「スタッフの働きやすい環境づくりのためにブランディングする」というお話に目からウロコでした。そのブランディングの一環として待合室での映像放映(デジタルサイネージ)も採用されているそうです。安部先生は「待合室にいながらにして患者さんのタメになる情報が流せる。またそれが患者側の視点でわかりやすく作られているので、待合室サイネージというツールは素晴らしいと思います。そこで知識をつけてもらうことで、診療の手助けにもなるのでとても重宝していますよ」とおっしゃっていました。これからも医療機関と患者をつなぐツールにより磨きをかけて、仕事への努力を惜しまないようにしようと勇気づけられるインタビューでした。

医療法人社団仁明会 安部医院

医療法人社団仁明会 安部医院
院長 安部 浩一
〒202-0015
東京都西東京市保谷町3-24-2
URL:https://www.ambe-clinic.com/

メディキャスター