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メンバーの定着率を高めるということ

今のメンバーで最古参。10年以上変わらず飄々と働いています。

MCFは、おそらく東京のIT系ベンチャーとかに比べると、メンバーの定着率が高い会社だと思います。

私がこの会社に来た10年前からいた社員(わたしが入ったタイミングで辞めた社員は除く)は12人中9人残ってますし、パートも一番古い人だと16年程になります。

今日は、「なぜ定着率を上げようと思ったのか」、「定着率を上げるために何をしているのか」について少し書いてみたいと思います。

なぜ定着率を上げようと思ったか

オペレーション改善による差別化

うちのような小さい会社の場合、どんどん尖っていかないと他の会社に勝てません。ビジネスにおいて、何かに尖るというのは、アイディア単体ではかなり難易度が高い(自分より頭のいい人は世の中にいくらでもいる)ので、オペレーションやコツコツした積み上げで尖らせるしかないと思ってます。

特にオペレーションは、同じメンバーで日々細かい改善を加えることが重要で、メンバーの入れ替わりがあるとその度に、多少の後退があります。なので、出来る限り過去の経緯から知っているメンバーが多いと、無駄な停滞をせずに改善をし続けられます。

コミュニケーションコストが下がる

長く付き合っていると、当然、お互いの性格なんて百も承知ですから、「阿吽の呼吸」みたいなことが出来てきますよね。さらに、性格的にこういう仕事苦手だわな、というようなところを早めにケアやサポートが出来たりします。

ただ、後で述べますがこれは一長一短あります。

組織に対して愛着を持つ人が増える

最古参パート&最若手パート。もう母親と娘だよね。

やっぱり長くいた組織ってそれだけで愛着がわくものだと思います。愛着が湧いた組織は、ちょっとでも良くしようと思うかな、と考えています。長くいる人ほど、社長や上司から何か言われるわけでなくとも、自分がこうした方が組織のためによい、と考えて動いてくれたりします。

定着率を上げるために何をしているのか

地方に本社がある

さっそく身も蓋もないですが、やはり地方に本社があると、本社メンバーの定着率は抜群に高くなります。

本社的な仕事をしたい、触れたいというメンバーにとっては、他に転職を考える候補の会社が少ないですし、新卒の頃以外でなかなか仕事のために住む場所まで変えて、誰1人知り合いのいない土地にいくのはかなりハードルが高いです。特に、九州の人は本州に出ることに心理的ハードルが高い傾向があるように感じます。

結果としては、大きな不満がなければ余程のことがない限り、転職したりしません。

東京にも支社がありますが、東京のメンバーは、ある程度、転職も視野に入れつつ働いているな、と感じます。

入社前の面接は、取り繕わない

入社してみたら、イメージしてた会社と違った、と言うのが一番会社辞めたい”あるある”ですよね。

なので、入社前の面接時に、もう本当に「そんなことまでわざわざ言わなくてよくない?」ってほど正直に会社のことを言うことにしています。会社のダメな部分は特に。

時に、あまりにネガティブな話しかしないので、面接者が逃げることがあります。

不満を言える・吐き出せるポイントをつくる

不満が少しずつ鬱積して、ある許容量まで来ると、辞める!ってなるので、不満を吐き出せる導線設計、みたいなことは意識しています。

具体的には、

  • 社長に文句言ってもいいという文化づくり
  • 若い子には、少し年上で別の部署のメンターをつける
  • 定期の面談

あたりですかね。

メンター制度はこの2年くらいで取り入れた制度ですが、明示的にあなたのメンターは誰々ですよ、と両者に言うことで、メンター側にも責任感が生まれますし、仕事上の直接の上司ではないので、ぼやっとした悩みとか仕事の不満を相談しやすいみたいです。

全員違う役割を持たせる

これは組織設計とも絡むので、定着率向上を狙った、というだけの理由ではないですが、MCFは、メンバー全員、それこそ一人一人違う役割を持っています。

人は、自分がこの組織において必要、と思えると組織に対する愛着も湧いてきやすいと思っているので、「自分だけの役割」があると、なかなか心理的にも辞めにくいかな、と。

この会社は何をする会社か、明確にしておく

このテーマは深いので、ここではサラッとしか書きませんが、これが全ての基本だと思っています。社長は、自分の中では明確で社員もわかってくれている、と思いがちですが、たぶんほとんど伝わっていないです。なので、しつこく・何回も・いろんな方法で、「この会社は〇〇をしていく会社だよ」という事を伝え続けるということですよね。

定着率が高いことの弊害

一般的には社員にとっても定着率が高いのは良いことのように考えられていますが、一方で定着率が高いことによる組織としての弊害もあるな、と思っています。

「身内感」が出過ぎる

定着率が高いということは、当然、古くからのメンバー同士の阿吽の呼吸が中心だったりするということです。コミュニケーションコストは下がりますが、その分、新規のメンバーからすると「疎外感」「入り込みにくさ」をより強く感じます。常連ばっかりの飲み屋みたいなものですよね。

ですので、定期的に新しいメンバーが入るようにしておかなければいけない、新しいメンバーが入った際には、早く溶け込めるよう最初は丁寧にサポートしていく、などの工夫は必要です。

新しい人が、社内のルールを知らないことによって何か問題が起きた際には、それをサポートできなかった周りの古参メンバーにかなり強めに叱ることがあります。

業務のリセットが出来にくい

業務って面白いもので、当初は何か目的があったのに、だんだんルーチン化していくと当初の目的を忘れてやることが目的化することが結構ありますよね。

例えば、ある担当が辞めて、その代わりに新しいメンバーが入ると、ある種「いまはそんなに重要でない、必要性の薄い仕事」は、自然と削ぎ落とされたりしますが、同じメンバーがずっと担当していると、なかなか業務の新陳代謝が進みにくいという側面があります。

これは、また別の機会にでも書きたいと思いますが、2年に1回ぐらい、定期的に業務の大掃除をするしかないんですよね、今のところ。

実は、定着率を上げよう、ときちんと意識したきっかけは、あるパートさんから「社長は、私たちに長く勤めて欲しいんですか?それともどんどん若い子を入れていきたいんですか?」と正面から聞かれたことです。

どれか一つの施策だけで、定着率があがるわけでもなく、人が組織に対して不満に思うポイントをちょっとずつ削り取っていって、組織への愛着が増えるポイントを少しずつ増やしていく、という地味な活動だと思っています。

でも、結局のところ、メンバーは「社長の社員に対する姿勢」ってすごく見ているよ、だから表面上のところで取り繕ってもダメだよ、ということが全てかな、と思っています。